


私が留学を初めて意識したのは、高校三年生のときでした。留学に行こうと思った動機は「英語が得意だから」、ただそれだけでした。なにも「英語が得意」といっても天才的に優れている、なんていうことはありません。英検一級、などの人に誇れるような資格なども持っていません。たまたま高校のクラスで英語の成績が上位だっただけのことです。
高校三年生。当時その先の進路について、進学はしたいと考えていたものの、どの大学を目指そうか迷っていた私は「得意の英語」が活かせる大学を調べていました。そして、名古屋外国語大学の資料を発見した私は、資料案内にある「本学生の半数以上は卒業までに留学を経験しています」という言葉に胸が高鳴りました。

私はそれまで海外はおろか、修学旅行以外ではまともに旅行を経験したことがありません。もちろん、飛行機に乗った経験もありませんでした。そして、胸の高まりを抑えられないまま、名古屋外国語大学に入学した私は、留学に必要な経費をそろえるため、かなりの時間をアルバイトに費やしました。もちろん、海外に留学するためには英語の勉強も必要ですが、「自分は英語が得意なんだから」と、自信過剰のあまり英語の勉強はせず、主にアルバイト、クラブ活動に重点をおいた生活をしていました。
以前から、常に日本のトレンドの規準となっているアメリカに憧れていた私は、アメリカに行くことを希望し、見事希望通りにアメリカのカンザス州立大学に留学、という結果で選考を通過しました。しかし、自分で思っていたほど成績は良くありませんでした。勉強していなかったので当然の結果でした。そして私は「まあ、勉強していなかったし、他の留学生にはアメリカで勉強して追いつけばいい」と、自分を過信していました。
いよいよ留学の日がやってきました。この大学から自分と同じようにカンザス州立大学に行く留学生も何名かいることは分かっていましたが、一人で行った方が苦労するぶん自分のためになると思い、敢えて一人で飛行機のチケットを取りました。
いざ飛行機に乗り込むと、これから始まるアメリカでの生活に期待で胸が膨らむとともに、これから何が起るか分からない、何が起っても頼る人もいないという不安な気持ちもありました。そんな期待と不安を抱いた私は、離陸前の飛行機の中でじっと大人しくしていることができず、隣に座った私と同い年くらいの女の子に話しかけてみました。「あなたも留学に行くの」「そうだよ。飛行機初めて?」「え! 何で分かったん?」「だってずっとキョロキョロしたり、そわそわしてるから」。確かに私は初めての飛行機ということで、かなり緊張していました。その会話で少しは落ち着いた私ですが、やはり初めての飛行機で、ましてや初めて海外に行くということで完全には落ち着きません。
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