初めて見る眼下の景色に大感動

そして、出発前というのは名残惜しくなるもので、急に日本の家族や友達、日本にある全てのものから離れたくないという気分になりました。「今から何千キロも離れたところに行ってしまうんやね。きっと日本のことが恋しくなるんやろうな」とセンチメンタルな気分に浸りながら私が言うと、彼女は「私は留学はもう三回目になるんだけど、たいしたことないって。アメリカに行ったって、日本人はいっぱいいるし、日本食も食べられるし、あんまり変わんないよ」と言いました。私は心のなかで「気分台無しやん!」と思いました。しかし、彼女と話ができたおかげで、私の不安は先程よりも少なくなっていました。私達はたくさんのことを話し合いました。

そして、いよいよ私達が乗った飛行機が離陸しました。離陸後、私は機内から外の景色を眺めてみました。空を見るのが好きな人間なのですが、このとき初めて飛行機に乗った私は、当然今まで雲を見下ろしたことなどありません。窓の外にはどこまでもひろがる青空と、まぶしく輝く太陽、そして眼下にはその太陽の光に反射して光り輝く巨大な雲が広がっていました。今までにこれほど素晴らしい景色は見たことがない、と思いました。そして、あまりの感動にこれから始まる留学生活のことすら、一瞬忘れてしまいました。「この景色を到着するまで、ずっと見ていたい」と思った私は、食い入るように窓の外を見ていました。機内の様子など全く気にも留めていませんでした。

ふと気が付くと、少し離れた席に座っていた外国人が私に何かを言っていました。よく聞くと「Shut the window」と言っていました。改めて機内を見てみると、機内は暗く乗客の約七割が寝ていました。そして、窓を閉めた私は隣の彼女と話をしたり、TVを見たり、音楽を聴いたりしているうちに眠りにつきました。

目を覚ました私は、また同じようにして時間をつぶしていましたが、やはり初めての飛行機、初めての海外ということで色々なことを頭のなかで思い巡らせていたので、時間が経つのは早かった気がします。離陸してから十四、五時間後、いよいよシカゴ空港に着きました。

情けなかった空港での会話

空港に着いた私は、当たり前のことですが、周りがほとんど外国人ということに改めて驚き、感動しました。しかし、感動する私を待っていたのは、ショッキングな事実でした。アメリカ人が何を話しているのか、ほとんど分からないのです。それまでの期待に満ちた心が、一気に焦りと不安に変わっていくのが分かりました。

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