入国審査を済ませた私は、荷物を仕分けする仕事をしているスタッフに話しかけられました。彼は英語で、私に何か指示をしているようでした。しかし、聞き取れなかった私は彼に「今、何と言ったのか」と聞き返しました。彼がまた何か言いました、が、やはり聞き取れません。私はもう一度聞き返しました。すると彼は呆れた顔をして、手のジェスチャーで「あっちへ行け」と言いました。これは自信過剰な私にとって、留学生活一番の屈辱でした。「英語が得意」だったはずの私は、すっかり自信を無くし、飛行機で隣の席だった彼女に手伝ってもらい、何とか次の飛行機に乗ることが出来ました。彼女にはもう会うことはないと思いますが、本当に感謝しています。

次の飛行機は、国内線ということもあり、二時間足らずで目的地に到着しました。KCI (KansasCityInternational)空港です。私が通う予定のカンザス州立大学へはここからシャトルバスが出ているはずでしたが、夜遅い時間だったので、とりあえず近くのホテルで一泊することにしました。近くといっても、空港の周囲には歩いていけるようなホテルはなかったので、ホテルに直接電話して車で迎えに来てもらうしかありません。すっかり「英語が苦手」になってしまった私でしたが、電話するしかないので恐る恐る空港の電話を使ってホテルに連絡を取ってみました。

日本では聞き慣れない呼び出し音を聞きながら、私はかつて無いほど憂鬱でした。「ホテルに泊まりたいのですが、車で迎えにきてくれませんか、って英語で何て言うんやろ。それよりも、相手の英語が聞き取れるやろうか」などと考えていました。そしていよいよ相手が電話に応対しました。

「Hello,this is〜……」

案の定、何を喋っているのか全然分かりません。

とりあえず私は、ホテルに泊まりたいという旨を英語で伝えようとしました。しかし、よほど発音が悪かったのか、電話の相手には伝わらず、「Can you speak English?」と何度も聞かれてしまいました。そして、挙句の果てには、相手に無断で電話を切られてしまいました。他にもいくつかのホテルを試みましたが、全て同じようなやり取りの後に無断で切られるという悲惨な結果でした。その後、キャリーバッグを引いて空港内を歩き回りながら、自分が情けなくて仕方ありませんでした。「自分は英語が得意」と慢心し、ろくに準備もせず自信満々でアメリカに渡ってきた結果、その英語が全く通用しないことを思い知らされたのでした。

ピンチをプラスに!!

しかし、私は「英語が得意」の他にも取り得があります。それは、「ピンチに強い」ということです。正確には「ピンチに強い」というよりも、「ピンチの状況を違う視点から見ることによって、自分にプラスに変えること」が得意なのです。

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