※掲載内容は2018年5月現在の情報です。

発行部数354万部。名古屋に本社を置く中日新聞社のさいたま支局で、主に県警や裁判所を担当しています。新聞記者として、私が最も重視するのは「核心は何か」を見極めること。そのためにはより多くの正確な情報が必要です。例えば何か事件が起こると、警察からマスコミ各社に一報が届きます。ここからが我々の勝負どころ。すぐに事件の関係者を調べて取材に出向くほか、朝晩に警察官の自宅を訪ねる、いわゆる「夜討ち朝駆け」も行います。これは事件があった時に限らず日頃から行っており、築いた信頼関係から「特ダネ」がつかめることも少なくありません。そうして足で稼いだ情報をつなぎ合わせると、背景や裏側を含めた事件の全体像が浮かび上がり、真相が見えてくる。まだ世の中に出ていない情報を正確に、わかりやすく、興味深く伝えることがこの仕事の使命であり、やりがいだと思います。

大学1年次から所属した「マスコミ業界研究グループ(マス研)」では、学内新聞の発行や地元ラジオ局の番組制作など、さまざまなことに挑戦しました。中日新聞社と出会えたのも、マス研がきっかけです。元新聞記者である顧問の先生に情報をもらい、2年次の1年間、学生記者として企画から取材、執筆までを担当。3年次にはインターンシップに参加して記者以外の業務も経験し、やはり自分は記者をめざしたいと確信しました。またフランス語学科では、フランスの文化や文学を通して多様な文章表現を学びました。例えば、「世界一美しい」と称される言語を操るフランス人。日常生活から言葉への美意識が高く、同じ単語を繰り返さない習慣があると学びました。授業で出会った考えは今でも原稿を書く際に意識しています。

新聞記者の醍醐味は、キャリアに関係なく、自由な視点や発想で記事を書き、発信できること。取材する内容は記者それぞれ。同じ出来事でも、記者によって切り口は違います。多様な視点が取り入れられることで紙面の幅が広がります。私が記事を考える際に意識するのは、当たり前を疑う目を持つこと。これは大学時代、外国人留学生や帰国子女の仲間との交流を通して得た感覚です。ある事象に対する世論が一方向に傾いていたとしても、別の立場や視点から見るとどうなのか、一歩踏み留まって考えてみる。そんな機会を読者の方に持ってもらい、生活や人生を豊かにする情報を伝えられたら、こんなにうれしいことはありません。私がこれまでに取材したのは、不登校の子どもたちを支援する団体の取り組みなど。今後も社会のあらゆることにアンテナを張り、人や社会に役立つ記事を届け続けたいです。